「リリーさんの東京タワー読みましたか?どうおもいました?」
というメールを数通頂きました。実は、読み終わってすぐに、私は感想文/リリーさんにお手紙、を書いたのです。そしてその夜、リリーさん本人に渡してきました。これは、私の個人的な感想です。
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リリー フランキー様
今、「東京タワー」を読み終わりました。深夜三時から読み始めて、今はもうすぐ「笑っていいとも」の時間です。途中で度々本を閉じて、部屋中に散らばったCDをかき分けて本に出てきた曲を探して部屋に流したり、目を瞑ったり、煙草を吸ったり、泣いたりして、最後まで読みました。大学の課題でもないのに、本を読み終えてすぐにPCに向かい、感想を文章にして書くのは初めてです。今年の4月にJ-WAVEのホームページのナビゲーター欄に、“リリー・フランキー”と並んで“LiLy”と自分の名前が乗っているのを見たとき、とても嬉しかった。と同時に、とても恐縮しました。それから何度も、ご挨拶に伺わなくてはと思いながらも、何故か緊張してしまい、リリーさんを見かけても声をかけられずじまいでした。そんな私が、生意気にもリリーさんの著書の感想文を図々しくお渡しすることをお許し下さい。「あぁ俺の書いた本を読んで、こんな風に感じた23歳の女の子がいたのか…」程度に思っていただければ嬉しいです。
一番始めのページに、題字を描かれたお父様の名前と、リリーさんの名前が、同じ名字で並ぶ一冊の本。お母様が“かっぱ”に込めた想いと、同じような想いを込めてリリーさんは、この中に三人を一緒に住まわせたのかな、と思いました。「この本をオカンに捧げる…」という一行がどこにも記されていない分、二度目に本を開いた時に見つけた、小さく並んだ二人の名前が、私の胸を締め付けました。
お母様が、つらいつらい抗ガン剤治療中に“気持ちを楽にしてくれる”と読んでいた本の中に、自分の本がなかった、自分はそのような助けになるようなものを書いていなかった…。そう気付いた時のリリーさんの気持ちを思ったら、そのページに私の涙がポタポタ落ちました。この本は、その時に書こうと思ったのかな?お母様だけのために?いや、もしかしたら、辛い病気と闘う世の中のお母さん達のために?それとも、お母さんをいつか失うという恐怖を抱えて生きる私たち全員のために?ううん、やっぱりこれは、世界でたった一人のお母様に宛てた長い長いお手紙なんだ…。リリーさんの少年時代から大人になるまでの成長過程も綴られているけれど、そこにはファーストキスの話も、初体験の話も出てこないのは、だからなのかな?そんな風に、思いをめぐらせました。
実は私も、フリーランスでライターの仕事をしています。そのせいか、お母様が亡くなった日の編集者の対応に、リリーさんが今までで一番悔しい思いをして、“お前らみたいなド素人にチェックなんかできない完全に美しい文章を書いてやる”と〆切を守って原稿を仕上げたという話に、感情移入してしまいました。私は感受性が強すぎるのか、よく泣く女ですが、本を読んで、大声を出して泣くというのは初めてだったかもしれません。
「書かんといけんよ」
「でもね、オカン。あの人たちはもしオレが先生やったら、そんなことは言わんのよ」
ライターを始めてまだ4年目の私が、その悔しさを“分かる”と言う資格はまだないのだけど、すごく共感してしまいました。リリーさんの中でのお母様との会話は、私の目からダーダー涙を流させ、私のココロをギュッと苦しくさせました。そして、命の炎が消え、声が出なくなった後でも、お母様はリリーさんに生前と同じように思いを伝えることが出来るということ。その事実は、いつか母親が死んでしまうという私の大きな恐怖を少し、和らげてくれました。
ありがとう。
私がこんなことを言ったら、失礼にあたるかもしれませんが、私の中の母性本能がこの文章を書かせているのかもしれません。女が人生最大の愛を捧げる相手は、どんなにロマンチックな関係を結ぶこととなる運命の男でも、自分自身でもなく、自分のお腹の中で誕生した命だということを私は知っています。自分以外の存在のために、自分の短い人生を切り取って与えたい、そんな奇跡に近いような感情は神様が女に与えた本能にほかならないのです。人生をそんな素敵な本能で満たしたリリーさんのお母様が、私は羨ましい。リリーさんの、お母様への、生まれてから現在に至るまでの年月分の想いが詰まったラブレターを読んで、そう思った女性は少なくないはずです。同性に羨まれる、それは“幸せ”の一つの証拠です。私はすっかり、中川栄子さんのファンになってしまいました。そして同じ女性として、どうしてもリリーさんに、リリーさんがお母様をどんなに幸せにしていたのかを、差し出がましいとは分かりながらも、伝えたくて仕方なくなってしまったのです。これを読みながら、不快な思いをさせてしまっていたら、本当にごめんなさい。
長々と、まとまりのない文章を書いてしまいましたが、「本当にライターかよ?」と思わないで下さいね。これから私は沢山経験を積んで、努力もして、精一杯頑張って、いつか、リリーさんと一緒にお仕事が出来ることを夢みています。それまでは、陰ながら応援しています。これからも頑張ってください!
LiLy
PS 本に出てくる「ムーンリバー」は、アンディ・ウィリアムズですか?違ったらどうしよう、聴きながらこれを書いてしまいました…。
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昨日の朝から原稿を書いていて、
気付いたらもう、今日の朝です。
なぜこんなに頑張ったかって、
あと6時間後のフライトでLAに行くのです。
お仕事関係の方、
連絡はメールまでお願いします!
月曜に、戻ります。